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四国EPOは、運営団体(NPO法人えひめグローバルネットワーク)とともに各主体の協力により運営しています。

持続可能な社会を実現するためには、地域の自然エネルギーや未利用資源の活用・保全を通じて地域社会を活性化し、地域の社会変革をもたらす事業活動を担う事業型の環境NPOや社会的企業の活躍が必要不可欠です。

四国EPOでは、NPOや企業等が環境課題の解決に対して収益を得ながら活動する取組、環境省が行った事業型環境NPO等の実証事業における四国での採択事例について、このページを通じて発信していきます。

<参 考>
環境省ホームページ>平成24年度環境NPO等ビジネスモデル策定事業の公募結果について
GEOCホームページ>情報発信>地域の活動事例集>事業型環境NPO・社会的企業の取り組み
四国EPO H21年度事業専用WEBサイト>環境を『仕事』にする -四国の環境社会起業を応援します!
四国の事例から見た環境NPO等における事業化のポイント集新着情報
事業型環境NPOのための現状・課題・ポイント新着情報
投稿日時: 2013-03-12

12月3日に、徳島のあわぎんホールにて事業型に関する入門講座を開催しました。今回は、事例としてNPO法人TOKUSHIMA雪花菜工房の顧問である鈴鹿剛氏より、団体発足の経緯から事業内容等についてご発表頂きました。


NPO法人TOKUSHIMA雪花菜工房は、そもそもは鈴鹿氏が担当教官として徳島県立小松島西高校商業科で始まった模擬会社「TOKUSHIMA雪花菜工房」をきっかけとして発足しました。そして、「安心・安全・美味しい、エコ」というコンセプトにて廃棄されるおからの有効活用を模索し、アイスやクッキーなどの商品開発や販売などを行っていました。その後、模擬会社の運営を経験した卒業生は大学生となりましたが、学生のサークル活動では物足りず、鈴鹿氏と相談して新たにNPO法人を発足。「学生,生徒,児童に対して,社会に通用する人材育成のためのキャリア教育に関する事業及び自然体験活動,環境教育に関わる事業を行うことと共に,地域のコミュニティ作りを促進し,県内の様々な行政機関や民間企業などと連携することにより,次世代を担う若者の育成及び地域の活性化に寄与すること」を目的に、模擬会社と役割分担・協力しながら事業に取り組んでいます。

さて、NPO法人の運営は基本的に学生が行っているということなのですが、既に年間1千万円を超える売り上げがあるのだそうです。収益源としては、雪花菜アイスなどはもちろん、傷等のあるB級品農産物の流通ルートを確立し、飲食店へ販売することでの利益も大きいということです。そうすることによって、一般ルートで売れずに廃棄されていたスダチ等の農作物が利益につながり、廃棄物が減るだけでなく農家の方も喜ばれているということで、一次産業の活性化につながっています。

事例発表の後は、香川でもファシリテーターをしていただいた独立行政法人中小企業基盤整備機構経営アドバイザーの森田 桂治氏も交えた参加者との活発な質疑を行い、鈴鹿氏からは事業運営について以下のような追加報告がありました。
・高校生や大学生による取り組みということで、多くの企業がCSRとして協力してくれる。
・様々なマッチングの機会に参加し、多くの企業との連携につながっている。
・応募対象とならない助成金でも、企業経由で獲得してもらっている。
・商品販売の機会には参加するようにしており、現場のニーズ把握やつながりができる。
・学生の労働の対価としては、時給で賃金を支払っている。
・商業科の卒業生なので簿記の資格を持っており、会計処理等は問題なく出来る。
・課題として人手不足がある。


さらに、森田氏からは事例として海岸ゴミの清掃・分析に取り組む団体による商品販売の事例紹介や、経営について経験のないNPO職員でNPOを事業型にすることの難しさ、何でも自分たちで実施するのではなくNPOと企業のパートナーシップで取り組むという考え方、小規模の収益事業を多くつくっていくことで固定費の収益性を高めるスモールビジネスという手法などのお話をいただきました。

今回の講座は、若者が主体となって取り組むことによるメリット、新しい価値の創造と提供による事業の可能性、事業運営における考え方や経験談など、様々な参考情報が得られ、事業化について様々な角度から考える機会となりました。


投稿日時: 2013-03-12

12月13日に、愛媛県松山市にて同講座を開催しました。今回は事例発表として、「よろず体験事務所をかしや(以下、をかしや)」の代表である菊間彰氏に事業内容や事業を創ることについて、ご発表頂きました。


「をかしや」は、愛媛県内のフィールド「しまなみ」を存分に活用したエコツーリズムや研修事業(しまなみインタープリター養成講座など)等の質の高いプログラムを参加者に提供することを心がけ、収益を上げながら事業に取り組んでいます。
菊間氏は神奈川県のご出身で、しまなみの素晴らしさに感動してIターンして来たのをきっかけに、「をかしや」を立ち上げられました。事業については、「知識で人は動かない。質の高い体験を提供することによって感動してもらえれば、動きにつながってくる。」と考え、体験を大事に「をかしや」の事業に取り組んで来られているそうです。
菊間氏が考える事業化のポイントとしては、「絶対的なスキルと経験」「『売れる』ことを常に考える」「人間中心」の3つを挙げられ、「をかしや」の事業を通して、それぞれについてご説明頂きました。


「絶対的なスキルと経験」については、をかしや設立以前に全国各地でインタープリテーションやファシリテーションの経験を積んできたということで、これが現在提供しているサービスにつながっているということです。
「『売れる』ことを常に考える」については、一般人を対象とすることで売り上げだけでなく広がりにもつながること、新しいことへのチャレンジとして今治のゆるキャラであるの「バリィさん」を3年前から起用していること、ヨソモノ目線で地域の良さを発掘すること、メディア戦略としてのプレスリリースや全国への情報発信・SNSの活用、などについてご紹介いただきました。
「人間中心」については、事業を行うにあたっては自然ではなく人を対象として事業を考える必要性についてご説明頂き、事業の柱として研修事業を行っていることをお話下さいました。研修事業としては社会人の基礎力を身につける講座として「しまなみインタープリター養成講座」などを実施しており、インタープリターが持つ「コミュニケーション能力」「企画力」「伝える力」を、自然を通して獲得するということをねらいとしているそうです。
これらの研修事業は、数万円規模の参加費であっても全国各地から様々な職種・年齢層の参加者やリピーターがいるということで、質の高いプログラムの提供によって事業型の取り組みが可能になっていることが実証されていると感じます。


事例発表の後は、NPO法人まちづくり支援えひめの前田眞氏によるファシリテートのもと、参加者との質疑を中心とした意見交換を行いました。事業内容や事業化について更に掘り下げ、菊間氏から以下のようなお話を頂きました。
・ 「をかしや」を組織化していない理由としては、必要性がまだないこと、組織では個人の良さが活かせないと考えていること、作業のスリム化などが挙げられる。フリーランスがチームを組んで取り組むという手法で事業を実施している。
・ 売れるポイントは、「楽しい」ということだと考えている。楽しさの中に学びや地域とのつながりを絡めている。
・ 多くの人は、参加者が喜んでお金を出してくれるものまで無料でやってしまっていることがよくあると感じている。
・ 有料にすることで参加者の質や意識が変わり、実施する事業内容も良くなる。
・ お金にならないことも取り組んでいる。これが、自分のスキルやネットワークづくりという投資になる。
・ 身近な川や公園をフィールドとしても何も問題ない。ポイントは、「それを「通じて」何を伝えるのか」についてデザイン出来ているか。
・ 地域の人であっても、圧倒的に質の高い体験であれば有料でもリピーターが来る。
・ 天候によるリスクについては、下見の時点で最悪バージョンのプログラムを考えており、また、これまでの経験と現場の状況判断で対応している。
・ 失敗した経験が役に立つ。
・ 「アイを大切に」「お互いから学ぶ」「失敗もOK」というグランドルールを設けている。
・ 地域の人とのつながりを大事にするよう心掛けている。
・ どんな事業をするにしても、「自分にとって何が大事なのか、自分にとって何が必要ではないのかが分かっていること」「自分の好きな仕事をする」ということが重要。

意見交換の最後には、アドバイザーの前田氏より菊間氏のお話や意見交換を振り返りながらポイントをまとめて頂きました。今回、事例発表・意見交換・ポイントの振り返りを通して、参加者それぞれが自分たちの事業と比較検討したりすることで、事業化の可能性や方向性を見いだせたのではないかと感じます。


さて、今回の講座をもって四国各県で開催した入門講座を終えました。事例によって違った視点があり、また様々なアプローチが行われていましたが、複数事例の共通点としては、「一般人が対象」「顧客・受益者目線」「常に新しいことを考える」「アンテナを張る」「地域との関係づくり」「企業や他団体との連携」「全国への情報発信」「会計を通した分析の必要性」などが挙げられそうです。
四国EPOにおける今後の事業型への取り組みのなかでも、今回の学びやつながりを活かしていけたらと思います。


投稿日時: 2013-03-12

12月11日に、高知市にて事業型の入門講座を開催しました。今回は、事例として社団法人西土佐環境・文化センター四万十学舎(以下、四万十学舎)の事業や運営について、専務理事である西本五十六氏よりご発表いただきました。


四万十学舎は、廃校となった小学校校舎を活用した体験型宿泊施設で、平成11年より運営を行っています。開設当初は、行政から校舎の改修や人件費等での補助がありましたが、現在は基本的には資金調達を含めた全てを自分たちで賄う必要があり、収益事業としては「宿泊事業」「自然体験事業」「委託事業」に取り組まれているそうです。
宿泊事業については、元々教室や校長室であった部屋を改造して宿泊出来るようになっています。自然体験事業では、カヌー体験、川漁師体験、星空観察などが行われており、宿泊者からの要望もあって「火を囲んで語る」という場も提供しています。この事業、「スタッフは考えもしなかったんですが、とても好評です。」ということでした。
発足から数年間は、あまり地元住民との交流はなかったものの、地域の方々の理解を得ることの重要性を認識し、スタッフから声掛けを積極的に行っていった結果、今ではお米や野菜を提供してもらったり、事業でも協力してもらえるような関係が築けているそうです。
自然体験事業では、四国外で自然学校の事業を行う組織との連携によって都会からの参加もあり、リピーター率も高いとのことでいた。


事例発表の後は、NPO法人まちづくり支援えひめの前田眞氏によるファシリテートによって、参加者との質疑などを中心とした意見交換を行い、四万十学舎のより深い部分について話を聞くことが出来ました。例を挙げると、
・ 経済的な点なことについては、給料が高いわけではないが、スタッフは手当てというよりやりたいことができるという理由で続いている。
・ 企業に勤めていた頃の月収よりかなり少なくなかったが、今のほうが幸せだと感じる。田舎では給与が少なくても何とかなる面もある。
・ NPOなどによくある担い手不足については、四万十が大好きな人たちがあちこちで出てきており、可能性がある。
・ この人がいなくなったら困る(対応出来なくなる)という状況があるため、解消していく必要性を感じる。
・ 顧客の目標設定は前年を参考にしている。
・ 提供するサービス単価は、これまでの経験的なところで決めている。今後の課題といえる。
などが挙げられます。

最後に、前田氏より事例発表や意見交換を踏まえて、四万十学舎の事業に関して以下のようなポイント等をご説明頂きました。
・ 組織の目標や取り組もうとしていることの成果目標が、スタッフ間で共有出来ている。また、組織とスタッフのミッションがうまく合致していることもあり、「しんどくてもみんなでやろうじゃないか」というスタッフ間のコミュニティがしっかり出来ている。
・ スタッフ間のコミュニティを作り上げてこれた理由としては、四万十や田舎暮らしの魅力というのがあるのではないか。
・ スタッフがしっかりとしたスクラムを組めており、収益を上げるということも含め、いろんな意味での基本になっている。「苦しいからやめる」とはならない。
・ 地元の人たちとうまく連携しながら事業運営出来ている。日頃の会話がそこに繋がっている。
・ 金銭的なメリットが提供できないと切られてしまうビジネス的なつながりではなく、志でつながっている外部の関連団体との結びつきがあり、そこを通してリピーターがある。
・ 課題として、会計収支から課題等を分析し、集客の仕方や目標設定、体験内容の決定が良い方向にならないかを考える必要があるのではないか。
・ 会計から分析する際に、ビジネス的思考だと良いところを落としていく判断になりがちであり、数字の読み方によって意思決定の仕方が変わってくるのでそこに気をつけていくと良いのではないか。それが事業を続けられたり、発展していくポイントになると感じる。


参加者からは、「収益を出すことは厳しいことを実感した」「年収が低くても食も住も困らないことに魅力を感じた」といったご意見や、課題として「資金繰り」「創業期の社会に受け入れられるまでの難しさ」といったコメントを頂きました。

事業毎に課題は異なりますが、今回の講座開催でも、事業化に必要な要素がいくつも抽出することが出来ました。


投稿日時: 2013-03-12

11月21日に、香川県高松市にて同講座を開催しました。まず事例発表として、今回はNPO法人ひかりエコ・エンジニアリングの事業や運営について、理事長の川上敬氏よりご発表いただきました。

NPO法人ひかりエコ・エンジニアリングは、障がい者の自立支援の一環として、障がいがあっても取り組める仕事と環境問題の視点から、手分解によるパチンコ台やパソコン等のリサイクル事業に取り組んでこられています。

川上理事長は、就労支援のための事業をするのであれば、実質的に継続していける仕組みをつくっていく必要があると考え、収益を得ながら事業として成り立つ体制を目指されました。また、手分解という事業を選択したのは、同様の作業に障がい者が取り組んでいるのを見学し、事業としてやれるのではないかと感じたことがきっかけだったそうです。「製品を分解する」という作業は、障がいがあってもストレスなく取り組めるため、仕事内容としても適しているということでした。

仕事として継続していくためには、NPOといえど会社と同等の視点で経営について考える必要があります。川上理事長は、事業を継続していくために「丁寧に仕事をすることで取引してくれる企業に認めてもらう」「簡単には出来ないような、少し難しいくらいのことにチャレンジする(廃棄物の収集運搬や処分の許可証を取得)」「何もしなければ売り上げは低下する、ということを基本に考える」「常にアンテナをはる」といった点に気をつけられているそうです。

だだ、そうは言ってもNPOとしての活動であり、儲けを第一として考えているのではありません。障がい者に長時間仕事をさせてストレスを与えないよう気をつけたり、逆に人件費の方が高くなってしまったとしてもリサイクルを優先して取り組んでいるということでした。

次に、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営アドバイザーで、NPOの理事や企業経営もされている森田 桂治氏より事業化のためのポイント整理や解説がありました。まず、組織が事業をしていく理由から改めて考えることについてお話がありました。事業を行うに際しての動機は何なのか(定款の目的達成、課題の解決・・)、そのために何が足りないのか(人材、リーダー、資金・・)、活動資金はどのようにして獲得するのか(助成金、会費、事業・・)。これらを一つ一つ整理していくことで、その事業が取り組むべきことなのか、事業化して収益を得る必要性があるのか、といったことを考え直すきっかけとなります。また、NPOといえど会計をしっかり定期的にチェックしていくことの重要性について話がありました。更に、事前の事例発表の話を受けて、「丁寧な仕事が営業としての効果を果たしているのではないか」との指摘や、森田氏が関係する海岸ゴミの清掃やゴミ分析に取り組む団体の事例として、海岸ゴミ清掃のマニュアルや清掃中に使うハンドマイク、ゴミ拾いのトング、軍手などの商品化に関する紹介がありました。


意見交換会では、森田氏と川上理事長によるディスカッションや、参加者を交えた意見交換があり、「資金的に大変だったことは無かったのか」「事業計画は何年くらいたてているのか」といった質問が出ました。これらについては、それぞれ「事業開始時の運営は厳しく自己資金も投入せざるを得なかったが、現在は軌道に乗っている」「事業計画は3年程度でつくっている。事業毎に計画する必要がある」といった回答などがありました。

規模にもよりますが、事業化にはそれ相応の覚悟が必要であること、NPOであっても経営者としての視点や力量が求められることについて理解を深めることが出来た講座となりました。


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