12月3日に、徳島のあわぎんホールにて事業型に関する入門講座を開催しました。今回は、事例としてNPO法人TOKUSHIMA雪花菜工房の顧問である鈴鹿剛氏より、団体発足の経緯から事業内容等についてご発表頂きました。
NPO法人TOKUSHIMA雪花菜工房は、そもそもは鈴鹿氏が担当教官として徳島県立小松島西高校商業科で始まった模擬会社「TOKUSHIMA雪花菜工房」をきっかけとして発足しました。そして、「安心・安全・美味しい、エコ」というコンセプトにて廃棄されるおからの有効活用を模索し、アイスやクッキーなどの商品開発や販売などを行っていました。その後、模擬会社の運営を経験した卒業生は大学生となりましたが、学生のサークル活動では物足りず、鈴鹿氏と相談して新たにNPO法人を発足。「学生,生徒,児童に対して,社会に通用する人材育成のためのキャリア教育に関する事業及び自然体験活動,環境教育に関わる事業を行うことと共に,地域のコミュニティ作りを促進し,県内の様々な行政機関や民間企業などと連携することにより,次世代を担う若者の育成及び地域の活性化に寄与すること」を目的に、模擬会社と役割分担・協力しながら事業に取り組んでいます。
さて、NPO法人の運営は基本的に学生が行っているということなのですが、既に年間1千万円を超える売り上げがあるのだそうです。収益源としては、雪花菜アイスなどはもちろん、傷等のあるB級品農産物の流通ルートを確立し、飲食店へ販売することでの利益も大きいということです。そうすることによって、一般ルートで売れずに廃棄されていたスダチ等の農作物が利益につながり、廃棄物が減るだけでなく農家の方も喜ばれているということで、一次産業の活性化につながっています。
事例発表の後は、香川でもファシリテーターをしていただいた独立行政法人中小企業基盤整備機構経営アドバイザーの森田 桂治氏も交えた参加者との活発な質疑を行い、鈴鹿氏からは事業運営について以下のような追加報告がありました。
・高校生や大学生による取り組みということで、多くの企業がCSRとして協力してくれる。
・様々なマッチングの機会に参加し、多くの企業との連携につながっている。
・応募対象とならない助成金でも、企業経由で獲得してもらっている。
・商品販売の機会には参加するようにしており、現場のニーズ把握やつながりができる。
・学生の労働の対価としては、時給で賃金を支払っている。
・商業科の卒業生なので簿記の資格を持っており、会計処理等は問題なく出来る。
・課題として人手不足がある。
さらに、森田氏からは事例として海岸ゴミの清掃・分析に取り組む団体による商品販売の事例紹介や、経営について経験のないNPO職員でNPOを事業型にすることの難しさ、何でも自分たちで実施するのではなくNPOと企業のパートナーシップで取り組むという考え方、小規模の収益事業を多くつくっていくことで固定費の収益性を高めるスモールビジネスという手法などのお話をいただきました。
今回の講座は、若者が主体となって取り組むことによるメリット、新しい価値の創造と提供による事業の可能性、事業運営における考え方や経験談など、様々な参考情報が得られ、事業化について様々な角度から考える機会となりました。