11月21日に、香川県高松市にて同講座を開催しました。まず事例発表として、今回はNPO法人ひかりエコ・エンジニアリングの事業や運営について、理事長の川上敬氏よりご発表いただきました。
NPO法人ひかりエコ・エンジニアリングは、障がい者の自立支援の一環として、障がいがあっても取り組める仕事と環境問題の視点から、手分解によるパチンコ台やパソコン等のリサイクル事業に取り組んでこられています。
川上理事長は、就労支援のための事業をするのであれば、実質的に継続していける仕組みをつくっていく必要があると考え、収益を得ながら事業として成り立つ体制を目指されました。また、手分解という事業を選択したのは、同様の作業に障がい者が取り組んでいるのを見学し、事業としてやれるのではないかと感じたことがきっかけだったそうです。「製品を分解する」という作業は、障がいがあってもストレスなく取り組めるため、仕事内容としても適しているということでした。
仕事として継続していくためには、NPOといえど会社と同等の視点で経営について考える必要があります。川上理事長は、事業を継続していくために「丁寧に仕事をすることで取引してくれる企業に認めてもらう」「簡単には出来ないような、少し難しいくらいのことにチャレンジする(廃棄物の収集運搬や処分の許可証を取得)」「何もしなければ売り上げは低下する、ということを基本に考える」「常にアンテナをはる」といった点に気をつけられているそうです。
だだ、そうは言ってもNPOとしての活動であり、儲けを第一として考えているのではありません。障がい者に長時間仕事をさせてストレスを与えないよう気をつけたり、逆に人件費の方が高くなってしまったとしてもリサイクルを優先して取り組んでいるということでした。
次に、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営アドバイザーで、NPOの理事や企業経営もされている森田 桂治氏より事業化のためのポイント整理や解説がありました。まず、組織が事業をしていく理由から改めて考えることについてお話がありました。事業を行うに際しての動機は何なのか(定款の目的達成、課題の解決・・)、そのために何が足りないのか(人材、リーダー、資金・・)、活動資金はどのようにして獲得するのか(助成金、会費、事業・・)。これらを一つ一つ整理していくことで、その事業が取り組むべきことなのか、事業化して収益を得る必要性があるのか、といったことを考え直すきっかけとなります。また、NPOといえど会計をしっかり定期的にチェックしていくことの重要性について話がありました。更に、事前の事例発表の話を受けて、「丁寧な仕事が営業としての効果を果たしているのではないか」との指摘や、森田氏が関係する海岸ゴミの清掃やゴミ分析に取り組む団体の事例として、海岸ゴミ清掃のマニュアルや清掃中に使うハンドマイク、ゴミ拾いのトング、軍手などの商品化に関する紹介がありました。
意見交換会では、森田氏と川上理事長によるディスカッションや、参加者を交えた意見交換があり、「資金的に大変だったことは無かったのか」「事業計画は何年くらいたてているのか」といった質問が出ました。これらについては、それぞれ「事業開始時の運営は厳しく自己資金も投入せざるを得なかったが、現在は軌道に乗っている」「事業計画は3年程度でつくっている。事業毎に計画する必要がある」といった回答などがありました。
規模にもよりますが、事業化にはそれ相応の覚悟が必要であること、NPOであっても経営者としての視点や力量が求められることについて理解を深めることが出来た講座となりました。